「看護師の平均年収は高いと聞くけれど、思ったほどお金が残らない」
「夜勤をしている今は収入があるけれど、いつまで同じ働き方を続けられるか分からない」
「NISAやiDeCoを始めたいけれど、毎月いくらなら無理なく続けられる?」
看護師の資産形成を考えるとき、平均年収だけを見ても十分ではありません。
実際に重要なのは、
年収 → 控除・社会保険料・税金 → 手取り → 支出 → 残るお金 → 資産
という流れです。
さらに看護師の場合、同じ年代でも、勤務先の種類や病院規模、夜勤回数、役職によって給与が変わります。
現在の年収が500万円あったとしても、そのすべてを自由に使えるわけではありません。
そして年収500万円の人と600万円の人で、必ず100万円分だけ資産形成の余力が違うわけでもありません。
この記事では、看護師の年代・勤務先・役職別の給与データを確認しながら、2026年の税制や社会保険料を踏まえた手取りの目安、NISA・iDeCoの使い分けまで順番に整理します。
※本記事の給与統計は主に「看護師」を対象としています。医師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師など、他の医療職では給与構造が異なるため、一括して「医療従事者の平均年収」とはしていません。
【早見表】看護師の年代別年収と手取りはいくら?
まず、自分の年代に近いところから、年収と年間手取りの目安を確認してみましょう。
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」をもとにすると、看護師の年収はおおよそ次の水準です。
| 年齢 | 平均年収 | 年間手取りの概算 | 月平均換算 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約440万円 | 約345〜350万円 | 約29万円 |
| 25〜29歳 | 約501万円 | 約388〜395万円 | 約32〜33万円 |
| 30〜34歳 | 約491万円 | 約381〜388万円 | 約32万円 |
| 35〜39歳 | 約519万円 | 約401〜408万円 | 約33〜34万円 |
| 40〜44歳 | 約548万円 | 約418〜425万円 | 約35万円 |
| 45〜49歳 | 約561万円 | 約427〜434万円 | 約35〜36万円 |
| 50〜54歳 | 約578万円 | 約439〜446万円 | 約37万円 |
| 55〜59歳 | 約574万円 | 約437〜444万円 | 約36〜37万円 |
※年収は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにした概算です。
※手取りは、給与所得のみ・独身・扶養なし・特別な所得控除なし・前年も同程度の所得があった場合を想定し、2026年分の給与所得控除・基礎控除、厚生年金、協会けんぽ全国平均の健康保険料率、雇用保険料などから算出した比較用の概算レンジです。40〜64歳は介護保険料も考慮しています。
※実際の手取り額は、加入している健康保険、標準報酬月額、賞与割合、居住地、扶養状況、住宅ローン控除、生命保険料控除などによって変わります。
50代前半までは平均年収が概ね上昇しています。
しかし、この表を見て「30歳になれば約490万円」「50歳になれば約580万円もらえる」と考えるのは正確ではありません。
なぜなら看護師の給与は、年齢以外の条件にも大きく左右されるからです。
看護師は「年齢」だけでは年収が決まらない
看護師の給与には、主に次のような要因が関係します。
- 年齢
- 勤続年数
- 勤務先の設置主体
- 病院・施設の規模
- 夜勤回数
- 役職
- 各種手当
例えば、同じ30代前半でも、大規模病院で夜勤をしている看護師と、小規模な医療法人で日勤中心の看護師では給与条件が異なります。
平均年収だけで自分の給与が高い・低いと判断するより、自分がどのような環境で働いているかまで分解した方が、現在地を把握しやすくなります。
同じ31〜32歳・勤続10年でも、勤務先によって給与が違う
日本看護協会の調査には、
勤続10年・31〜32歳・非管理職
という条件を揃えた看護師の給与データがあります。
勤務先の設置主体別に見ると、平均税込給与総額には次のような違いがあります。
| 病院の設置主体 | 平均基本給与額 | 平均税込給与総額 |
|---|---|---|
| 国 | 約26.8万円 | 約35.1万円 |
| 公立 | 約27.7万円 | 約35.4万円 |
| 公的医療機関 | 約27.2万円 | 約35.4万円 |
| 社会保険関係団体 | 約29.0万円 | 約36.7万円 |
| 医療法人 | 約23.7万円 | 約32.2万円 |
| その他法人 | 約25.2万円 | 約34.1万円 |
同じ年齢・勤続年数・非管理職という条件でも、勤務先によって平均給与には差があります。
ただし、この数字だけから「公立病院へ転職すれば必ず給与が上がる」と判断することはできません。
地域、夜勤体制、住宅手当、家族手当、福利厚生、退職金制度などが異なるためです。
ここで重要なのは、「看護師として何年働いたか」だけでは現在の給与水準を説明できないということです。
病院の規模によっても給与差がある
同じ「勤続10年・31〜32歳・非管理職」という条件で、病床規模別の平均税込給与総額を見ると次のようになります。
| 病床規模 | 平均税込給与総額 |
|---|---|
| 99床以下 | 約31.9万円 |
| 100〜199床 | 約32.8万円 |
| 200〜299床 | 約33.5万円 |
| 300〜399床 | 約34.9万円 |
| 400〜499床 | 約35.7万円 |
| 500床以上 | 約36.8万円 |
99床以下と500床以上では、平均で月約4.8万円の差があります。
年間に単純換算すれば約58万円です。
もちろん「病床数が多いから給与が高くなる」という因果関係まで、このデータだけで証明できるわけではありません。
しかし、自分の年収が同年代の平均より高い・低いと判断するときに、勤務先の規模を無視するのも適切ではありません。
看護師の収入を大きく左右する「夜勤」
看護師の給与構造で特徴的なのが夜勤手当です。
日本看護協会の調査では、夜勤手当の平均額は次のようになっています。
| 勤務形態 | 1回あたりの平均夜勤手当 |
|---|---|
| 三交代制・準夜勤 | 4,567円 |
| 三交代制・深夜勤 | 5,715円 |
| 二交代制・夜勤 | 11,815円 |
例えば二交代制で月4回夜勤をした場合、単純計算では、
11,815円 × 4回 = 月47,260円
となります。
年間では約56.7万円です。
ここは、看護師の資産形成を考えるうえでも重要です。
現在の年収が550万円あったとしても、そのうち50万円前後が夜勤によって生まれている場合、「550万円の収入が今後もずっと続く」とは限りません。
結婚、妊娠・出産、育児、健康状態、部署異動、管理職への昇進などによって、夜勤回数が変わる可能性があるからです。
住宅ローン、自動車ローン、保険料など長期間続く固定費を「夜勤込みの最大収入」に合わせてしまうと、後から働き方を変えにくくなる可能性があります。
そのため、家計設計では、
- 基本給・安定して受け取れる収入 → 固定費や毎月の生活設計
- 夜勤手当・残業代・賞与など変動性のある収入 → 貯蓄や追加投資
のように分けて考える方法もあります。
主任・看護師長など役職によって年収はどう変わる?
役職によっても給与水準は変わります。
日本看護協会の調査による、病院勤務・正規雇用・フルタイムの看護師では、役職別の年間給与総額に次のような差が確認されています。
| 役職 | 年間給与総額の平均 |
|---|---|
| スタッフ・非管理職 | 約530万円 |
| 主任・副看護師長相当職 | 約631万円 |
| 看護師長相当職 | 約676万円 |
| 副看護部長相当職 | 約759万円 |
| 看護部長・副院長相当職など | 約818万円 |
ただし、「主任になれば年収が約100万円上がる」という意味ではありません。
各役職では年齢や勤続年数などの条件も異なるため、役職手当だけによる差ではないからです。
この表は、役職別に実際の給与水準がどの程度異なるかを見るためのデータとして捉えるのが適切です。
年収500万円でも、500万円を自由に使えるわけではない
ここからが資産形成を考えるうえで重要です。
給与からは、主に次のようなお金が差し引かれます。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 40歳以上の場合は介護保険料
- 所得税
- 住民税
所得税は、年収へ直接税率を掛けて計算するわけではありません。
大まかな流れは次のとおりです。
給与収入 − 給与所得控除 = 給与所得
さらに、
給与所得 − 基礎控除 − 社会保険料控除 − その他の所得控除 = 課税所得
を求め、この課税所得をもとに所得税が計算されます。
2026年は給与所得控除が変わる
2026年分・2027年分の給与所得控除は、給与収入に応じて次のようになります。
| 給与収入 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 220万円以下 | 74万円 |
| 220万円超〜360万円以下 | 収入×30%+8万円 |
| 360万円超〜660万円以下 | 収入×20%+44万円 |
| 660万円超〜850万円以下 | 収入×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円 |
例えば年収500万円なら、
500万円 × 20% + 44万円 = 144万円
が給与所得控除です。
したがって給与所得は、
500万円 − 144万円 = 356万円
となります。
2026年の基礎控除はいくら?
2026年分の所得税では、基礎控除も合計所得金額に応じて変わります。
| 合計所得金額 | 2026年分の基礎控除 |
|---|---|
| 132万円以下 | 104万円 |
| 132万円超〜336万円以下 | 88万円 |
| 336万円超〜489万円以下 | 68万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 63万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 58万円 |
ここで注意したいのは、「基礎控除が104万円になった」と全員に当てはめることはできないということです。
例えば年収500万円の場合、先ほど計算した給与所得は356万円です。
356万円は「336万円超〜489万円以下」に該当するため、基礎控除は68万円です。
【具体例】年収500万円の看護師、実際の手取りはいくら?
ここまでの仕組みを、年収500万円の看護師を例に見てみましょう。
今回は、
- 40歳未満
- 独身
- 扶養なし
- 給与所得のみ
- 協会けんぽ全国平均を参考
- 前年もほぼ同水準の所得
- 特別な所得控除なし
という条件で概算します。
1.給与所得控除
年収500万円の場合、
500万円 × 20% + 44万円 = 144万円
です。
したがって、
500万円 − 144万円 = 給与所得356万円
となります。
2.社会保険料
厚生年金、健康保険、雇用保険などを現在の料率からモデル計算すると、年間負担は約74万円前後が一つの目安になります。
※実際には標準報酬月額、賞与、加入する健康保険などによって変動します。
3.所得税
年収500万円では、給与所得356万円に対する2026年分の基礎控除は68万円です。
そこから社会保険料などを差し引くと、課税所得はモデル上およそ214万円前後になります。
所得税・復興特別所得税は、概算で年間約12万円前後となります。
4.住民税
住民税は前年所得をもとに計算されます。
所得税とは基礎控除などの金額も異なり、前年も現在とほぼ同じ所得だったと仮定すると、モデル上では年間約24万円前後が一つの目安になります。
5.最終的な手取り
以上を差し引くと、
年収500万円 → 年間手取り 約390万円前後
が一つの目安です。
月平均に単純換算すると、
約32〜33万円
です。
ただし、賞与を12か月へ均した数字なので、「毎月32〜33万円が銀行口座へ振り込まれる」という意味ではありません。
つまり年収500万円の場合、
約110万円前後が税金・社会保険料などとして手元から出ていき、実際に使えるお金は約390万円
という構造になります。
40歳以降は介護保険料も加わるため、同じ年収でも手取りはさらに少し下がります。
資産形成で見るべきなのは「年収」ではなく「残るお金」
ここまで見ると、「年収が高い=資産が多い」ではないことが分かります。
資産の増加を単純化すると、
資産の増加額 = 手取り収入 − 支出 + 運用による増減
です。
例えば年間手取り430万円の人が420万円使えば、その年に残るのは10万円です。
一方、年間手取り390万円でも330万円で生活すれば、60万円を将来へ残すことができます。
もちろん家族構成や住居費などが異なるため、この2人を単純比較することに意味はありません。
重要なのは、
「いくら稼いでいるか」ではなく、「自分の収入のうち、毎年いくらを将来へ移せているか」
という視点です。
看護師は実際にどのような資産形成をしている?
看護師に限定した資産形成について、公的機関による大規模で継続的な統計は多くありません。
参考として、2024年に全国で働く看護師680人を対象に行われた民間インターネット調査では、何らかの資産形成をしている人は52.9%でした。
また、「貯蓄対策」として行っている方法では、
| 方法 | 回答割合 |
|---|---|
| ポイ活 | 71.5% |
| 節約 | 58.8% |
| NISA | 32.9% |
という結果でした。
貯蓄額についても、100万円以下が25.7%である一方、901万円以上が22.5%となるなど、大きな幅があります。
ただし、この調査は民間企業によるインターネット調査であり、看護師全体を完全に代表する統計ではありません。
また「資産形成をしているから貯蓄額が多い」のか、「もともと貯蓄余力があるから資産形成をしている」のかも、この調査だけでは判断できません。
それでも、同じ看護師という職業でも、手元に残っている資産にはかなり差があることは参考になります。
看護師の資産形成は「残す・守る・育てる」で考える
資産形成というと、すぐにNISAや投資信託の商品選びへ進みがちです。
しかし、その前にお金の役割を3つに分けた方が整理しやすくなります。
- 残す:税金や固定支出など、出ていくお金を適正化する
- 守る:必要なときに使える現預金・流動資産を確保する
- 育てる:当面使わない余剰資金を中長期の資産形成へ回す
NISAやiDeCoは、このうち主に「育てる」ために利用できる制度です。
ただし、資産形成へ回す金額を決める前に、まず、
手取り − 生活費 = 毎年いくら残せているか
を把握する必要があります。
看護師の場合は「働き方が変わっても続けられる金額」で考える
特に看護師の場合、現在の収入に夜勤手当が含まれているケースがあります。
そのため、
「今払える金額」ではなく、「夜勤を減らしても続けられる金額」
を基準に積立額を決める考え方も重要です。
毎月5万円積み立てられるからといって、必ず5万円を固定して積み立て続ける必要はありません。
例えば、
- 安定収入から毎月2万円を継続積立
- 夜勤手当や賞与から余裕がある月だけ追加投資
という方法もあります。
資産形成では、「今月いくら入れられるか」より、10年、20年と続けられる設計になっているかの方が重要です。
NISAとiDeCoは「どちらが得か」ではなく役割が違う
| 比較項目 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 主な目的 | 中長期の資産形成 | 老後資産形成 |
| 投資・掛金時の所得控除 | なし | あり |
| 運用益 | 非課税 | 運用中は非課税 |
| 途中売却・引き出し | 可能 | 原則60歳まで不可 |
| 流動性 | 比較的高い | 低い |
NISAとiDeCoは比較されることが多い制度ですが、単純に「どちらがお得か」で決めるものではありません。
役割が異なるからです。
NISAは「税引後のお金を育てる」制度
NISAでは、株式や投資信託などへの投資で得た利益を非課税にできます。
2024年からのNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間最大360万円まで投資でき、非課税保有限度額は総額1,800万円、非課税保有期間は無期限です。
ただし、NISAへ100万円投資したからといって、その100万円が所得控除されるわけではありません。
NISAの税制上のメリットは、投資した後に生まれた利益を非課税にできることです。
また必要になれば保有商品を売却して現金化できるため、iDeCoより資金の自由度があります。
iDeCoは「所得控除を受けながら老後資産へ移す」制度
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象です。
そのため、所得税・住民税を負担している人であれば、掛金によって課税所得を減らす効果があります。
ただし、iDeCoには大きな制約があります。
原則として60歳まで自由に引き出すことができません。
つまり、
NISA=比較的自由に使える中長期資産
iDeCo=老後まで使わないことを前提とした資産
という違いがあります。
年収500万円でiDeCoを月1万円積み立てると?
例えば年収500万円の看護師が、iDeCoへ月1万円、年間12万円を拠出するとします。
掛金12万円は全額所得控除になります。
先ほどの年収500万円モデルでは、課税所得は所得税率10%の区分に入るため、概算では、
- 所得税・復興特別所得税:約1.2万円
- 住民税:約1.2万円
合計で年間約2.4万円前後の税負担軽減につながる計算です。
※実際の効果は本人の課税所得、他の所得控除、住民税の計算条件などによって異なります。
重要なのは、「12万円使って2.4万円得をする」という話ではないことです。
12万円は、自分の老後資産へ移動しています。
その代わり、原則60歳まで自由に使えなくなります。
つまりiDeCoは、
現在使える12万円を、税負担を軽減しながら老後専用の12万円へ移す制度
と考える方が実態に近いでしょう。
2026年12月、iDeCoの上限が大きく変わる
2026年12月1日から、第2号被保険者のiDeCo・企業年金等の拠出限度額が見直されます。
企業年金等との共通上限は、月額6万2,000円となります。
企業年金がない場合は、iDeCoの拠出上限が月6万2,000円となります。
一方、企業年金がある場合は、企業型DCやDBなどの掛金相当額を含めた合計額で上限が決まります。
つまり、
「2026年12月から看護師なら誰でもiDeCoへ月6万2,000円入れられる」
という意味ではありません。
勤務先の病院に、
- 企業型DC
- 確定給付企業年金
- その他の企業年金制度
などがあるかを確認する必要があります。
給与だけでなく、退職金や企業年金まで含めて「勤務先の待遇」として見ることが、資産形成では重要です。
20代・30代・40代・50代で資産形成の考え方は変わる
20代|金額より「続ける仕組み」を作る
20代前半の看護師の平均年収は約440万円、後半では約500万円です。
20代の大きな強みは、資産形成に使える時間を長く取れることです。
一方で、転職、引っ越し、結婚など生活環境も変わりやすい年代です。
そのため、老後まで資金を固定するiDeCoだけを優先するのではなく、現預金による生活防衛資金+NISAなど比較的流動性のある資産を含めて考える方法があります。
30代|「夜勤込みの年収」で生活水準を固定しない
30代では平均年収が500万円前後となります。
一方、住宅購入、結婚、出産、育児など大きな資金需要が発生しやすい年代でもあります。
現在の年収が夜勤によって底上げされている場合、今後夜勤を減らしても維持できる固定費になっているかを確認しておきましょう。
NISAやiDeCoへの積立額も、現在の最大収入ではなく、将来の働き方が変わった場合まで考えて決めることが重要です。
40代|収入だけでなく支出と残り時間を見る
40代の平均年収は500万円台半ばまで上昇します。
一方で40歳からは介護保険料も加わります。
住宅ローンや教育費などが増えている場合、収入が増えても資産形成へ回せる金額が増えているとは限りません。
この年代では、収入 − 税・社会保険 − 固定費 − 今後の大型支出まで確認し、老後まで使わなくてもよい資金をiDeCoへ振り分ける判断が重要になります。
50代|「増やす」だけでなく「いつ使うか」を決める
50代前半の平均年収は約578万円と、年代別では高い水準です。
一方、20代や30代と比較すれば、老後までの運用期間は短くなります。
この年代では、
- 現在の預貯金
- NISAなどの金融資産
- 退職金
- 企業年金
- 公的年金
をまとめて確認し、「老後時点でいくら不足するのか」から逆算して資産形成を考える方が合理的です。
夜勤手当や昇給分を「最初から使わない」という方法
看護師の給与特性を考えると、資産形成しやすい方法の一つがあります。
昇給や夜勤で収入が増えたときに「使えるお金が増えた」と考えるのではなく、
増えた分の一部を、生活水準を上げる前に資産へ移す
という方法です。
例えば夜勤手当で月4万円増えているとしても、4万円すべてを生活費へ組み込む必要はありません。
2万円を生活へ、2万円をNISAなどへ回すという選択もできます。
夜勤手当、残業代、賞与など変動性のある収入をそのまま固定費へ変えてしまうと、働き方を変えたときに支出だけが残ります。
逆に、変動収入の一部を資産へ変えておけば、現在の労働で生まれた収入を、将来の自分が使える資産へ移すことができます。
「節税できる」だけでは資産形成の成功とはいえない
iDeCoや生命保険料控除などを見ると、「年間○万円節税できます」という説明をよく見かけます。
しかし、
節税額 = 資産の増加額
ではありません。
税金を減らすために必要以上の商品を契約すれば、そのために出ていくお金の方が大きくなる可能性があります。
また資金を長期間動かせなくすることで、住宅購入や転職などへの対応力を下げてしまうこともあります。
見るべきなのは、
- いくら支払うのか
- 税負担はいくら減るのか
- 支払った後に何が資産として残るのか
- いつ使えるのか
- 途中で働き方が変わっても続けられるのか
です。
まとめ|看護師の資産形成は「年収」からではなく「手取りの構造」から考える
看護師の平均年収を見ると、20代前半の約440万円から、50代前半では約578万円まで上昇しています。
しかし、実際の給与は年齢だけでは決まりません。
勤務先、病院規模、夜勤、役職によっても変わります。
そして年収が分かっても、それだけでは資産形成へ回せる金額は分かりません。
大切なのは、
年収
↓
給与所得控除
↓
社会保険料・所得控除
↓
所得税・住民税
↓
手取り
↓
生活費・将来使う資金
↓
資産形成へ回せるお金
という順番です。
NISAもiDeCoも、この最後の「資産形成へ回せるお金」をどこへ置くのかを選ぶための制度です。
「NISAとiDeCo、どちらがお得なのか」と考える前に、
- 今、毎年いくら残せているのか
- 夜勤を減らした場合、収入はいくらになるのか
- 数年以内に使う予定のお金はいくらか
- 老後まで使わなくてもよいお金はいくらか
- 勤務先にどのような企業年金・退職金制度があるのか
を整理することが先です。
2026年は給与所得控除・基礎控除の改正に加え、12月にはiDeCoの拠出限度額も変わります。
制度が変わるタイミングだからこそ、自分の年収だけを見るのではなく、税金、社会保険、勤務先の制度、NISA・iDeCoまで含めて、資産全体を一度整理してみてはいかがでしょうか。
医療従事者・看護師のための資産形成を基礎から学びたい方へ
「自分の年収なら、毎月いくら投資しても大丈夫?」
「NISAとiDeCo、どちらを優先すればいい?」
「夜勤を減らした後も続けられる資産形成にしたい」
「節税も含めて、手元に残るお金を増やしたい」
そんな医療従事者・看護師の方向けに、資産形成の基本からNISA・iDeCoの活用方法まで学べる勉強会をご案内しています。
大切なのは、単に投資を始めることではありません。
今の収入を、将来使える資産へどう変えていくのか。
まずは、自分のお金の全体像を整理するところから始めてみてください。
※本記事の税額・社会保険料・手取り額は制度理解と比較のための概算です。実際の税額・社会保険料は、所得、扶養状況、居住地、加入する健康保険、標準報酬月額、賞与、各種所得控除等によって異なります。
※NISA・iDeCoを含む投資には元本割れの可能性があります。制度内容や税制については利用時点の最新情報をご確認ください。
社会保険料はいくら引かれる?
厚生年金
厚生年金保険料率は18.3%です。
原則として事業主と被保険者が半分ずつ負担するため、本人負担は9.15%相当となります。
ただし、実際の保険料は年収へ9.15%を直接掛けるのではなく、標準報酬月額や標準賞与額をもとに計算されます。
健康保険
協会けんぽの2026年度の平均健康保険料率は9.90%です。
こちらも原則労使折半となります。
ただし、健康保険料率は都道府県ごとに異なり、勤務先の健康保険組合などに加入している場合も料率が異なります。
40歳になると介護保険料も加わる
40〜64歳は介護保険第2号被保険者となります。
2026年度の協会けんぽの介護保険料率は1.62%です。
そのため、同じ年収でも、40歳未満と40歳以上では社会保険料負担が同じとは限りません。
雇用保険
2026年度の一般事業における雇用保険料率は、労働者負担で5/1,000、つまり0.5%です。