住宅ローンを返しながら教育費と老後資金を準備するとき、どれか一つだけを優先すると、別の時期に資金不足が起こりかねません。30代の家計では、必要額だけでなく「いつ使うか」と「毎月いくら残るか」をそろえて考えます。年収から理想の積立額を決めるより、実際の手取りと支出から続けられる配分を作りましょう。
三つの目的を同じ年表に置く
子どもの進学予定、住宅ローンの返済終了、自分たちの退職予定を年齢とともに記入します。教育費は在学中の毎年の支出と入学時のまとまった支出を分けます。住宅にはローン以外に税金、修繕、管理費などもかかります。
老後資金は「誰でも2,000万円」と固定せず、生活費と年金などの収入の差から考えます。退職手当の見込額は勤務先の試算を使い、二人分の平均額をそのまま当てはめないようにします。
世帯手取り40万円の配分例
以下は、夫婦と子ども1人、住宅ローン返済中の仮の家計です。賞与を毎月の生活費の穴埋めに使わない前提で、毎月の収入の範囲に収めています。
| 用途 | 月額 |
|---|---|
| 住宅ローン | 9万円 |
| 住居費以外の生活費 | 20万円 |
| 税金・修繕・旅行などの特別費 | 3万円 |
| 教育資金の預金 | 4万円 |
| 老後に向けた積立 | 4万円 |
| 合計 | 40万円 |
教育資金を月4万円ずつ10年間積み立てると、運用益を含めない元本は480万円です。すでに100万円あれば計580万円になります。想定する進路で必要な額と比べ、足りなければ期間、毎月額、賞与からの追加などを調整します。値上がり益を不足分の穴埋めとして確約しないことが大切です。
教育費は支払い時期から置き場所を選ぶ
入学金など期日を動かせない資金は、必要な時点で不足しない管理を優先します。預金や利用できる共済貯金について、払戻し日と条件を確認します。学資保険を使う場合は、満期日、途中解約時の返戻金、保険料の負担を比較します。
NISAを利用して教育資金を運用する場合も、進学直前の価格下落に対応できる預金を別に確保します。教育ローンや奨学金は返済負担が生じる場合があるため、最初から運用不足を必ず補えるものとして計画しません。
老後資金と繰上返済は家計全体で比べる
老後まで使わないお金には、NISAとiDeCoの違いを踏まえて配分します。iDeCoは掛金の所得控除がある一方、原則60歳まで引き出せません。NISAは売却できますが、運用損失が出る可能性があります。
繰上返済で減らせる利息と、投資で期待する利益は確実性が違います。「ローン金利より期待利回りが高い」だけでは決めず、住宅ローン控除の残り期間、金利上昇時の返済額、手元資金の残高を確認します。
家計が変わったときに配分を直せる形にする
育休や時短勤務で手取りが減った月も、教育費とローン返済は続きます。収入が月5万円減った場合、積立の調整だけで対応できるか、固定費も見直す必要があるかを試しておくと、無理な設定に気づけます。
教育費だけ、NISAだけを別々に考えると、同じお金を二重に使う計画になりがちです。三つの目的を一枚にまとめ、預金と投資、NISAとiDeCoの役割まで整理すると、今の生活を守りながら将来に回せる金額を判断できます。