共働き公務員夫婦は、それぞれのNISAやiDeCoを利用できます。ただし、二人分の枠を使い切ること自体が目標ではありません。所得、育休の予定、教育費、退職時期が違えば、同額ずつ積み立てるより家計に合う配分があるためです。まず世帯として残す現金を決め、個人ごとの制度に振り分けます。
制度の枠は夫婦で共有できない
NISAの年間投資枠は1人につき、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円です。非課税保有限度額は取得額で1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。夫婦で利用しても、名義と枠はそれぞれ別に管理します。
iDeCoの掛金も本人の所得から控除されます。一方の掛金を、所得の多い配偶者の所得からまとめて引くことはできません。所得税・住民税を負担していない場合には、掛金控除による税負担軽減が生じないこともあります。
公務員のiDeCoは現行と改正後を分けて確認する
2026年9月時点で、公務員のiDeCo掛金上限は原則月2万円です。2026年12月1日施行予定の改正では、勤務先の年金と合計する上限が月6.2万円となり、公務員の共済掛金相当額が月8,000円の場合、差額は月5.4万円になります。加入資格などの確認も必要です。
「上限が増えたから夫婦ともに増額」ではなく、教育費や住宅費に使う現金を残せるかを先に見ます。加入年齢の拡大も無条件ではなく、年金の受給状況などによって扱いが異なります。
毎月8万円の余裕資金を振り分ける例
生活費、年払い費用、予備資金を確保した後に、月8万円を長期資金に回せる夫婦を想定します。夫婦とも現行の掛金上限と加入条件を満たす例です。
| 本人 | iDeCo | NISA | 合計 |
|---|---|---|---|
| 夫 | 2万円 | 2万円 | 4万円 |
| 妻 | 2万円 | 2万円 | 4万円 |
| 世帯合計 | 4万円 | 4万円 | 8万円 |
このままなら年間の積立元本は96万円です。ただし、来年の育休で手取りが下がるなら、受取時まで使えないiDeCoを増やすより、現金を厚くする案もあります。NISAの資産を売ればよいと考えていても、そのとき値下がりしている可能性は残ります。
税負担の軽減額と運用利益を混ぜない
年間掛金24万円、所得税率10%・住民税率10%で全額の控除効果があると仮定すると、軽減額は単純計算で年4万8,000円です。復興特別所得税や他の控除との調整を省いた概算で、全員に同額が戻るという意味ではありません。実際には年末調整と翌年度の住民税などに反映されます。
積立元本、運用による増減、税負担の軽減は別に記録します。運用結果を一定の利回りで確約したり、退職手当の平均額を足して将来の総資産を断定したりしないことが、現実的な世帯計画につながります。
出口まで夫婦別に整理する
iDeCoの一時金と勤務先の退職手当を受け取るときは、勤続・加入期間の重複や受取年により退職所得控除の調整が生じます。単に5年ずらせば二つの控除を満額使える、という説明では判断できません。
夫婦それぞれの年金見込額、退職予定年、教育費の終了年を並べると、何を優先すべきかが変わってきます。個人の節税額だけでなく、世帯の資金繰りと老後収支までつなげて考えることが、二人分の制度を生かすポイントです。