NISAを始めてみたものの、「相場が下がったらどうしよう」「いつ買えばいいのか分からない」と不安を感じる20代公務員は少なくありません。投資には値動きがつきものですが、不安に振り回されずに長く付き合うための土台として、昔から「長期・積立・分散」という3つの原則が知られています。この3つは、特別な才能や予測の能力がなくても実践でき、時間を味方にできる20代と特に相性のよい考え方です。この記事では、3原則の意味と、避けて通れない暴落とどう向き合うかを整理します。投資にはリスクがあり、元本割れの可能性がある点を前提にお読みください。
投資の「3原則」がなぜ大切なのか
投資で多くの人がつまずくのは、商品選びそのものより、「価格が下がったときに不安に耐えられず、やめてしまう」ことです。せっかく長く続ければ活きるはずの仕組みを、途中で手放してしまうわけです。下落のたびに売り買いを繰り返すと、かえって成果が安定しにくくなります。
長期・積立・分散の3原則は、この「途中でやめてしまう」リスクを下げるための考え方です。値動きに振り回されにくい形を最初に作っておけば、相場が荒れても淡々と続けやすくなります。20代は投資に使える時間が長いため、3原則の効果を活かしやすい立場にあります。まずはそれぞれが何を意味するのかを、順番に見ていきましょう。
長期:時間を味方にする
1つ目の原則は「長期」です。短期間では価格が大きく上下しますが、長く保有を続けることで、価格の振れの影響をならしやすくなるという考え方です。1年では大きく上下した相場も、長い目で見れば落ち着いて推移していくことが多くあります。
加えて、運用で得た利益がさらに利益を生む「複利」の効果は、期間が長いほど大きく働きます。20代から始めれば、運用できる期間は数十年に及びます。これは、後から始める人には取り戻しにくい、若さならではの強みです。たとえ毎月の金額が小さくても、時間をかけることでその差は積み上がっていきます。ただし、長期でも値動きはなくならず、将来の成果が約束されるわけではない点には注意が必要です。
長期投資は値動きの影響をならしやすくする考え方ですが、利益を保証するものではありません。過去の運用実績は将来の成果を保証しません。余裕資金で行うことが前提です。
積立:買うタイミングを分散する
2つ目の原則は「積立」です。毎月一定額を機械的に買い続ける方法で、「いつ買うか」というタイミングの判断に悩まずにすみます。相場が気になって買えない、という人にも向いています。
価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことになるため、購入価格をならす効果が期待できます。これは「ドルコスト平均法」と呼ばれる考え方です。一度に大きな金額を投じると、その直後に価格が下がったときの精神的な負担が大きくなりますが、積立なら時間を分けて買うため、こうした負担を和らげやすくなります。公務員は給与天引きやつみたて投資枠を使いやすく、積立を仕組み化しやすい立場です。いったん設定してしまえば、あとは自動で続くので、忙しくても投資を継続できます。
分散:一つに偏らせない
3つ目の原則は「分散」です。投資先を一つに集中させると、その対象が大きく値下がりしたときの影響を強く受けます。複数の地域や資産に分けて投資することで、一部が下がっても全体への影響を和らげやすくなります。
3つの原則のねらいと、20代との相性を整理します。
| 原則 | ねらい | 20代との相性 |
|---|---|---|
| 長期 | 値動きをならし複利を活かす | ◎ 期間を最も長く取れる |
| 積立 | 購入タイミングを分散 | ◎ 天引きで仕組み化しやすい |
| 分散 | 投資先の偏りを減らす | ○ 投資信託で実現しやすい |
全世界株式などに幅広く投資する投資信託を使えば、1本で世界中の多くの企業に分散する形を取りやすくなります。1社や1つの国に集中するより、値下がりの影響を受けにくくなるのが利点です。具体的な商品は金融庁の「つみたて投資枠対象商品リスト」などを参考に、自分で選定してください。
暴落が来たときの心構え
長く投資を続ける間には、価格が大きく下がる局面に直面する可能性があります。大切なのは、そのときに慌てて売らないための準備を、平常時にしておくことです。心の準備があるかないかで、いざというときの行動は大きく変わります。
価格が下がった局面で不安になって売ると、損失を確定させてしまいます。積立を続けている人にとって、価格が下がった時期は「同じ金額で多く買える時期」とも言えます。
暴落に備える具体策は3つあります。1つ目は、生活防衛費を別に確保しておくこと。投資とは別に当面の生活費を預貯金で持っていれば、暴落時に投資を取り崩さずにすみ、回復を待つ余裕が生まれます。2つ目は、積立を止めないこと。下がった局面でも淡々と買い続けることが、長期では力になります。3つ目は、頻繁に口座を見すぎないことです。値動きを毎日確認すると不安が増すため、長期前提なら距離を置くくらいでちょうどよいといえます。20代のうちに暴落を一度経験しておくことは、その後の長い投資人生の予行演習にもなります。
下落率を家計への影響額に置き換える
株式型資産300万円が30%下落する仮定なら、評価額は210万円、減少は90万円です。3年以内に使う学費をここに含めているなら、相場の回復を待てない可能性があります。
積立を続けるか迷ったら、まず支払予定と予備資金を確認します。長期・積立・分散を知るだけでなく、自分が耐えられる損失と預金の割合を決めることが、下落時にも判断できる資産形成につながります。