子どもの教育資金を運用する選択肢が広がっても、投資の利益で学費を賄えると決まるわけではありません。2027年からの未成年者向けNISA拡充の内容と、教育費の支払時期に合わせた家計の準備を整理します。枠を使い切る前に、親の老後資金と子どものための現金を分けて考えましょう。
2027年から未成年者のつみたて投資枠を拡充
令和8年度税制改正では、2027年1月からNISAのつみたて投資枠を未成年者にも広げる仕組みが示されています。対象は0〜17歳、年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円という内容です。成人の年間120万円・総枠1,800万円とは分けて把握します。
いわゆる「こどもNISA」は、2023年末に新規投資が終了したジュニアNISAと同じ制度ではありません。旧制度で保有している資産の取扱いと、新しく使う枠を混同しないようにします。
払出しの条件と子どもの名義を確認する
財務省の説明では、12歳以降、子のための使途であることや子の同意を示す書面などを金融機関へ提出することで払出しを可能とする内容が示されています。親の口座のように目的を問わず自由に使える資金と考えないことが必要です。
口座は子の資産として管理します。親や祖父母からの入金は贈与の論点があり、運用益の非課税制度と贈与税の非課税を同一視しないようにします。実際の申込方法や必要書類は取扱金融機関の案内を確認します。
公務員世帯の教育資金づくりへの影響
この制度は、子育て中の公務員世帯にとって、教育資金づくりの選択肢を広げるものです。
これまで教育資金は、預貯金や学資保険などで準備するのが一般的でした。こどもNISAが始まれば、これらに加えて、非課税で運用しながら教育資金を準備する選択肢が増えることになります。長い期間をかけて準備できる小さな子どもがいる世帯ほど、運用期間を長く取れるメリットを活かしやすいと言えます。ただし、投資には元本割れのリスクがあるため、教育資金のように「使う時期が決まっているお金」をすべて投資に回すのは慎重に考える必要があります。預貯金などの安全な準備と組み合わせて、バランスよく備えることが大切です。
始める前に知っておきたい注意点
こどもNISAを活用するうえで、知っておきたい注意点があります。
こどもNISAも投資の制度であり、元本割れの可能性があります。教育資金という使う時期が決まったお金の準備では、リスクとのバランスを慎重に考えましょう。
1つは、前述のとおり投資にはリスクがあることです。教育資金は使う時期が決まっているため、必要な時期に値下がりしている可能性もあります。すべてを投資に回さず、安全な準備と組み合わせることが大切です。2つは、公表された制度の内容と金融機関の実務上の案内を分けることです。対象年齢・枠・払出しの条件を理解したうえで、申込時期や必要書類を確認します。3つは、家計全体で考えることです。子どもの教育資金だけでなく、親自身の老後資金や生活防衛費とのバランスも見ながら、無理のない範囲で活用しましょう。
今からできる準備
こどもNISAのスタートに向けて、今からできる準備があります。
1つ目は、教育資金の計画を立てることです。子どもの進学にいつ、どのくらいの費用がかかりそうかを大まかに見積もり、そのうちどの部分を預貯金で、どの部分を運用で準備するかを考えます。
2つ目は、家計全体を見直すことです。教育資金に回せる余裕がどのくらいあるかを把握するため、家計の収支を整理しておきます。生活防衛費や親の老後資金とのバランスも確認します。
3つ目は、制度の最新情報を追うことです。金融機関の受付時期や手続きの案内を確認します。スタート時に慌てないよう、金融庁などの公的機関の情報や、信頼できる金融機関の案内を確認しておきましょう。
開始を待つ間も必要な現金は準備する
5年後の進学に向け200万円が必要で、現在80万円ある例なら、残り120万円を60か月で用意するには月2万円です。制度が新設されても、この支払期限は変わりません。
投資する部分を設ける場合は下落時の不足をどう補うかも確認します。親のNISA・iDeCo、教育費用の預金、子どもの口座を同じ表で管理し、同じ収入を二重に配分しないようにしましょう。