40代になると、親から財産を引き継ぐ「相続」が、いつか向き合うテーマとして見えてきます。相続というと身構えてしまいますが、基礎を知っておけば、いざというときに慌てず対応できます。この記事では、公務員が知っておきたい相続・贈与の基本的な考え方と、早めにできる準備を整理します。
40代から相続を考え始める意味
相続は、親が高齢になってから急に向き合うことが多いテーマです。しかし、いざ相続が発生すると、限られた期間の中で財産の把握や手続き、相続人同士の話し合いを進めなければなりません。準備がないと、精神的にも実務的にも大きな負担になります。
40代のうちに基礎を知り、親が元気なうちに財産の状況や希望を共有しておけば、相続が発生したときの混乱を減らせます。早めの理解は、家族間のトラブル防止にもつながります。
相続税は「全員にかかる」わけではない
「相続税」と聞くと身構えるかもしれませんが、相続が発生したすべての人に相続税がかかるわけではありません。相続財産が一定の基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかからず、申告も不要なケースが多くあります。
実際、相続が発生したうちで相続税の課税対象となるのは一部にとどまります。まずは「必ずしも相続税がかかるわけではない」という前提を理解し、過度に不安になりすぎないことが大切です。そのうえで、自分の家庭が課税対象になりそうかどうかを、基礎控除額をもとにおおまかに把握しておきましょう。
相続税の基礎控除は法定相続人の人数で計算する
相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。法定相続人が3人なら4,800万円になります。預金だけでなく不動産、一定の生前贈与、債務などを含めた税務上の課税価格と比べます。
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、税額がゼロでも申告が必要になることがあります。単純な口座残高だけで申告不要と判断せず、財産評価や適用する制度を確認します。
相続時精算課税は、原則として贈与年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母等から、18歳以上の直系卑属である推定相続人や孫への贈与などが対象です。一度選ぶと同じ贈与者について暦年課税へ戻せないため、相続時の計算まで含めて比較します。
贈与は二つの課税方式を区別する
暦年課税の贈与税は、受贈者が1年間に受けた贈与を合計し、基礎控除110万円などを適用します。贈与者ごとに110万円ではありません。相続時精算課税は、2024年以後の年110万円の基礎控除と累計2,500万円の特別控除などを持つ別制度で、対象者・申告の条件があります。
相続時精算課税を選ぶと、その贈与者からの贈与について暦年課税に戻れません。相続時の加算や、暦年贈与の相続前加算期間の経過措置もあるため、税額だけでなく親の生活費を残せるかまで確認して選びます。
公務員が早めに準備しておくこと
相続に向けて、40代の公務員が今からできる準備を整理します。
1つ目は、親の財産状況のおおまかな把握です。預貯金・不動産・保険・負債など、どこに何があるかを、元気なうちにそれとなく共有しておきます。
2つ目は、親の希望の確認です。財産をどうしたいか、誰に何を遺したいかといった意向を聞いておくと、相続人同士の話し合いがスムーズになります。
3つ目は、相続の基礎知識の習得です。基礎控除や申告期限など、最低限の仕組みを知っておけば、いざというときに適切な専門家に相談できます。
公務員は収入が安定しているぶん、相続対策を冷静に計画的に進めやすい立場です。慌てて動く必要はありませんが、知識と準備があるかどうかで、いざというときの差は大きくなります。
贈与の前に親の生活資金を残す
親の預金1,000万円から子へ200万円を渡す案なら、贈与後は800万円です。その後に住まいの修繕200万円が必要なら残りは600万円になります。税の軽減だけを見ず、介護費や年金で足りない生活費も見積もります。
子のNISAを利用するための入金であっても、贈与税が自動的に非課税になるわけではありません。親と子それぞれの資産形成を別の計画として整理することが大切です。