退職が視野に入ると、投資を全部やめるべきか、まだ増やすべきか迷うことがあります。年齢だけで一律に決めるより、退職直後に使うお金と、老後の後半まで使わないお金を分けると判断しやすくなります。まず退職手当と年金の見込額を確認し、預金・NISA・iDeCoを一つの表で見直します。
最初に給付の種類と受取時期を確認する
公務員が勤務先から受け取る退職手当と、共済の退職等年金給付、個人で積み立てるiDeCoは別制度です。退職手当を誰でも自由に「一時金・年金・併用」の三つから選べる、という扱いではありません。勤務先の規程と通知で支給額・支給時期を確認します。
共済の退職等年金給付には終身退職年金と有期退職年金があります。有期部分には10年・20年の年金や一時金などの選択があり、その選択を勤務先の退職手当と混同しないことが大切です。iDeCoの年金・一時金・併用についても、利用する運営管理機関の取扱いを確認します。
退職から年金開始までの不足を計算する
仮に退職後の生活費が月26万円、働いて得る手取りが月16万円で、年金をまだ受け取らない期間が2年あるとします。この期間の不足は月10万円、24か月で240万円です。住宅修繕などの臨時費用は別に足します。
この240万円まで株式などで運用していると、退職直前の下落で予定額を取り崩せない可能性があります。まず近い時期の不足分を現金で確保し、それ以外を長期資金として検討します。家族の収入や退職時期が変われば、この額も再計算します。
保有資産は口座名より中身を見る
NISA、iDeCo、課税口座は制度や口座の名前です。それぞれで同じ株式投資信託を持っていれば、口座が分かれていても似た値動きをします。預金、国内外の株式、債券など、資産の中身に分けて合算します。
仮に金融資産1,000万円のうち株式型資産が700万円なら、株式型部分が30%下落すると210万円の減少です。他の資産が変わらないとした簡易例でも、生活への影響を金額で考えられます。耐えられなければ、新規積立や売却で配分を調整する案を検討します。
一度に売る以外の見直し方もある
投資比率を下げる方法には、新しい積立を預金に振り向ける、退職までに数回に分けて売却する、保有商品を見直すなどがあります。課税口座では売却益への課税、NISAでは翌年以降の取得額ベースの枠再利用も確認します。
iDeCoは原則60歳まで引き出せず、受給開始年齢にも加入期間による条件があります。自分が予定する退職年に、保有資産のすべてを自由に使えるとは限らない点を忘れないようにします。
退職後の収支から今の積立を逆算する
退職手当が入ってから使い道を考えるより、年金と生活費の差、住宅ローンの残高、教育費の終了時期を先に並べるほうが、必要な準備を具体化できます。老後の全期間を預金だけで賄うか、長期運用を続けるかも、その収支に照らして判断します。
退職までの年数は、積立できる期間であると同時に、配分を無理なく調整できる期間でもあります。受取制度の確認と家計の試算をつなげ、自分に必要な現金と運用資金の割合を考えましょう。