定年が延びても、60歳前と同じ給与が続くとは限りません。一方、「60歳の誕生日に年収が一律3割減る」という理解も正確ではありません。定年年齢、管理監督職勤務上限年齢、給与の措置を分け、本人に適用される時期と金額を確認することから、50代の家計準備を始めましょう。
定年年齢と役職の上限は別の仕組み
国家公務員では定年年齢の段階的な引上げが進んでいます。一般の職員に適用される定年年齢と、管理監督職を務める上限年齢は別です。職種による特例もあり、地方公務員では所属先の条例などを確認します。
役職を離れることによる管理職手当等の変化と、60歳以降の給与の措置を一つにまとめないことが大切です。退職予定日、役職の変更日、給与が変わる日を別々に書き出します。
俸給の7割措置を年収全体に掛けない
国家公務員の一般的な取扱いでは、60歳に達した日後の最初の4月1日以後、俸給月額が当分の間7割水準となる措置があります。給与の全項目や年間手取りが一律に7割になるという意味ではありません。
諸手当、賞与、勤務時間、税金、共済掛金などで実際の手取りは変わります。年収800万円を単純に560万円と置くのではなく、勤務先に自分の給与項目の見込みを確認します。
収入が減った家計を先に試す
例えば、現在の月手取り35万円が、勤務先の試算に基づいて28万円になると仮定します。現在、生活費27万円、特別費3万円、積立5万円なら、支出合計は35万円で、変更後は7万円不足します。
| 項目 | 現在 | 見直し案 |
|---|---|---|
| 生活費 | 27万円 | 24万円 |
| 特別費の積立 | 3万円 | 2万円 |
| 長期の資産形成 | 5万円 | 2万円 |
| 合計 | 35万円 | 28万円 |
この数字は給与制度の標準例ではなく、家計を点検する仮の例です。住居費などを本当に減らせるかまで確認し、調整が難しければ手元資金の確保や働き方を再検討します。
ローンと年金開始前の期間を確認する
退職後も住宅ローンが残るなら、年金や再就職後の収入だけで返済と生活費を賄えるか試算します。繰上返済をする場合も、退職直後の支払い用預金を残す必要があります。
老齢年金の受給開始までに収入が少ない期間がある場合、その不足分を退職手当の使い道に含めます。定年まで働けば準備は十分、と職業だけで判断せず、年金見込額と固定費の差を確認します。
50代の積立は受取後の使い道までつなげる
給与が高い時期に積立を増やすことは選択肢ですが、iDeCoの引出し制限や退職所得の調整、NISAの価格変動も考えます。退職直後に使う資金と、その後長く運用する資金を分ければ、すべてを同じ商品に入れる必要はありません。
給与規程を確認した後は、その数字を自分の生活費、年金、預金・投資の配分に当てはめる段階です。制度変更を知るだけで終わらせず、働き方が変わっても継続できる資産形成の計画に落とし込みましょう。