確定申告は「難しそう」と身構えがちですが、医療費控除やe-Taxの段取りを押さえれば、スマホでも完結できます。OTC医薬品に詳しい薬剤師の視点も交えながら、必要書類と手順を実務目線で整理します。
申告する所得年と手続きの種類を先に確認する
確定申告は1月から12月までの所得を対象に行います。申告義務の有無は、給与収入、年末調整の状況、複数勤務先の給与、給与以外の所得などで判断します。給与以外の所得20万円以下の申告不要の扱いにも条件があり、住民税の扱いは別です。
還付申告、期限内申告、期限後申告は同じではありません。還付申告は原則として対象年の翌年1月1日から5年間できます。期限を過ぎて申告義務があると分かった場合は放置せず、税務署に確認して手続きを進めます。具体的な受付期間は対象年の国税庁案内で確認します。
医療費控除の基本
1年間(1〜12月)に支払った医療費が一定額を超えると、超えた分が所得控除になります。生計を一にする家族の分も合算できます。保険金や給付金で補てんされた金額は差し引いて計算します。
医療費控除額 = 年間の医療費 −(保険金などで補てんされた額)− 10万円 ※ (控除の上限は200万円)
※ その年の総所得金額等が200万円未満の人は「総所得金額等の5%」
領収書の提出は不要ですが、明細書の作成に必要で、5年間の保管義務があります。通院のための公共交通機関の交通費など、対象になるものもあります。
医療費控除 vs セルフメディケーション税制
市販薬(OTC医薬品)の購入が多い年は、セルフメディケーション税制が有利なこともあります。両者は選択制で、併用はできません。
| 項目 | 医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 医療機関の費用・処方薬・市販薬など | 対象の市販薬(OTC医薬品)の購入費 |
| 下限 | 年10万円(所得200万円未満は所得の5%)超 | 年12,000円超 |
| 控除の上限 | 200万円 | 88,000円 |
| 追加の条件 | 特になし | 健診・予防接種など「一定の取り組み」が必要 |
| 併用 | どちらか一方を選択(併用不可) | どちらか一方を選択(併用不可) |
e-Taxで出す手順
マイナンバーカードとスマホがあれば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からオンラインで申告できます。
確定申告書への押印は原則不要です。納付はスマホアプリ納付やコンビニなど複数の方法が選べます。
薬剤師ならではの視点
薬剤師も、購入したOTC医薬品が税制の対象に該当するかは、領収書や対象品目で確認します。対象商品はレシートに識別表示がされることが多く、購入時のレシート管理が控除の前提になります。自分自身の申告に役立つのはもちろん、患者・顧客に制度を説明する際の知識としても活かせます。
計算結果と送信結果まで確認する
対象医療費30万円、補填金8万円、足切り10万円の例なら、医療費控除額は12万円です。所得税率10%で他の条件を単純化すれば所得税の軽減は1万2,000円で、12万円がそのまま戻るわけではありません。
e-Taxでは入力完了と送信完了を分けて確認し、受信通知や控えを保存します。医療費通知と手入力の領収書を二重に計上しないことも重要です。還付や住民税の軽減を確認した後に、医療の予備資金と長期積立への配分を考えましょう。